「生きる」というこの摩訶不思議な「こと」

<わかる>
解かる 分かる 判る 
多くの人は、ヤマモモの樹とホルトノキの違いがわからない
多くの人は、ゴマ鯖と真鯖の違いがわからない
多くの人にとって、それはどうでもいいこと
 
ある時、何らかの必要に迫られて、その違いが「わかる」
 
わかるとは、「分ける」ことだろう。分解することだろう。
そして判る。判断する。
 
ある人々は、違いを見い出して、鯖と言う言葉から、更に
ゴマ鯖と真鯖と言う言葉を作り出す
ある人々は、ゴマ鯖と真鯖と言う言葉を知って
その違いを見い出そうとする
 
船から水揚げする時
これはゴマ鯖か真鯖と選り分けていたのでは
鯖は腐ってしまう
 
通は、多くの鯖の中から、真鯖を選ぶ
 
ゴマ鯖と真鯖では、違いがわからなくとも困らないが
セリとドクセリでは、違いがわからないと困ったことになる
 
大雑把に分けること、丁寧に分けること
どちらも、生きることの戦略だろう
 
若い医女見習いチャングムに、試験官が、問う
「植物を薬草と毒草に分けて書き出しなさい」
優秀なチャングムは、沢山書き出すが、落第する
 
量によって、使い方によって、植物は、毒にも薬にもなる
症状や、適度な量の違いがわからないと、誤る
 
トリカブトは麻酔剤や強心剤にもなる
 
わかるとは、世界を分けること
私達は「言葉」で分ける
分けることで、しばしば「全体」を見失う
 
「個人」とか「社会」と言う言葉を使うと
そういった個物が、独立して、あるかのように思ってしまう
 
ネットワークとか縁生・縁起・中観などという言葉で
繋ぎあわそうとするのだが、それはとても「複雑」だ
 
多くの人は
ゴマ鯖と真鯖の違いを知らないまま
ネットワークも縁起も意識しないまま
鯖を食べる