メメントモリ マインドフルネス

 「メメントモリ」 ラテン語で「死を思え、死を忘れるな」という意味。
 「死を忘れるな」とはどういうことだろう。 家族や友人、そのほか色々死に立ち会い、見聞きした中で、大人は「自分がいつか必ず死ぬ」ことを知っている。 知っているといっても、それは「外側から見た死」。 心臓が停止することは同じでも、その内容・味わいは一人一人違う。 そして、その内容については、外からは知りえない。

 二度以上、「臨死体験」を味わった。 しかしそれとて、やがて訪れる死とは違う。 全てのものごとは、一回きりのこと、個別な特異なものごと。 「死」という一般化し概念化したことばと、実際の一回きりの「それ」とはおなじではない。 「ことばの死」あるいは「文章の死」を思うことは、「実際のそれ」を思うことではない。 実際に味わっていないのだから、「それ」を思うことも、忘れることもできない。

 「やがて訪れる死」というのもやはり、一般化し概念化したコトバだろう。すべては一回きりの出来事だから、この瞬間瞬間に、生死がある。 今この瞬間の生死を丁寧に味わうこと(マインドフルネス)が、私にとっての「メメントモリ」。