なぜ「助けて」といえないか

 なぜ「助けて」と言えないか。
 「この世は弱肉強食である」という世界観で生きてきて、自分がこの世で生き抜くことができない、この世から必要とされない、そんな社会に所属できない「弱者」である、「落ちこぼれ」であると思っている人が、弱肉強食社会に向けて「助けて」と言えるはずがない。「助けて」といえば、ますます自分が弱者であることを認めることだから。
 依存症の人々が、自らを依存症と認めず、「自らの力」で抜け出そうとして、ますます深みに落ちていく状況と似ている。
 弱肉強食?共生? そのどちらでもない?