朝、道すがら、ふと鳳仙花が目に留まった
幼い頃過ごした家の小さな庭にも咲いていた。
面白がって実に触り、種を弾けさせたものだ。それで毎年、こぼれ種から育った。
女性だと、マニュキアの代わりにして、爪を染めた思い出があるかもしれない。
それで爪紅、ツマクレナイという別名がある。
恋する人のことを思い、爪を染め、それが初雪までもてば
その恋はみのるとか・・・
何処の家にでもあるような花だった。
でも、最近はめったに見かけない花になった。
花言葉は、「快活」と同時に「私に触れないで」というのもある。
鳳仙花の鳳は、花弁が鳳凰に似てるからだと聞いた。
ギリシャ神話では、オリンポスに住んでいた女神が、泥棒の濡れ衣を着せられ、身の証の為に袋(実)の中に何もないことを示すとか、私に触れないで、と種を飛ばすとかいうそうな。
英語になると、a garden balsam
Garden という単語は、小さな庭ではなく、元々は庭園を表すとも聞いた。
過去の俳句を見てみても、路地植えや庭に咲く姿を詠っていると思われる。
路地や庭がなくなり、それに伴って鳳仙花の姿も見かけなくなったように思う。
「鳳仙花庭ある家の入口に」
「鳳仙花触れていいかな はいどうぞ」
鳳仙花を詠う句は色々あるが、そこにはパターンがあるように思う
鳳仙花の姿そのものを17文字で一気に詠うもの
幼い頃の思い出、爪を染めたとか実に触れて遊んだとか、庭に咲いていたとかに結びつけて、「切れ」を入れて二枚組で詠うもの
花言葉、私に触れないでに結び付けて詠うもの
富田木歩の句
「かそけくも咽喉鳴る妹よ鳳仙花」