生の肯定

私の父母は、夫婦仲のあまりよくない夫婦であったと思う
給料日の前になると、よく喧嘩していた
友達を連れて、自宅に帰ると、掴み合いの喧嘩をしていたこととか
喧嘩が激しくなり、モノが飛交い、隣の家に逃げたこともあった
  
喧嘩の後、母は私達子どもたちに、「おまえたちがいるので我慢している」と繰り返した。
 
しかし、私達は母の味方かというとそうでもなかった。
思い出の品々も壊れ、ある時母の投げたもので怪我をしたことがあった。
父も母もどっちもどっちであった。
 
私達子どもは、早く大人になって、独立したいと願った。
よく幼いころが一番懐かしいと人はよく言ったりするが、
青年期の頃、幼いころが一番とは思わなかった。
 
直ぐ上の姉は、母から暴力も受けた。
 
しかし、大人になって、一番早く両親を許したのは、その姉である。
 
私もまた、歳をとるにつれ、父母の喧嘩のことは、忘れていった。
 
また父母の生い立ちを知るにつけ、さもありなんと思うようになった。
 
歳時記を読んでいて、珍しい季語に出会った。
 
「浮いて来い」
 船や鳥や魚の形をしていて、水や風呂に浮かべる浮人形のことで、夏の季語。
 
すると、母に連れられて行ったもらい湯が懐かしく思い出され、
浮人形をいろいろ思い出した。
潜水艦もあったっけ、と。
 
もらい湯に母の思いで浮いてこい
 
 
 
平成22年版 犯罪白書 によれば

<殺人及び傷害致死では,面識率は,それぞれ,おおむね,80%台後半,80%台で推移し,非常に高い水準にある。親族に対する殺人の検挙件数は,昭和50年代の後半には600件台であった後,減少していたが,平成4年から増加傾向にあり(21年は467件),その増加に伴い,殺人の親族率も,上昇し,最近は,50%に近い。傷害致死の親族率も,最近は,50%に近い。>
と書かれています。

<21年における死者は,殺人で506人,傷害致死で129人,強盗で36人,放火で25人であった。(合計699人)>
  
警察庁発表の犯罪統計書平成16年度版によれば
  
加害者と被害者の関係
親族52.1%(配偶者37%)、友人・知人28.1%、職場関係者6.1%、13.8%
とありました。
 
河合幹雄『日本の殺人』ちくま書房 2009年
2004年(平成16年)1年間で、実子殺し129件。実父母殺しは116件。統計上、親族による殺人が57.2%、非親族による殺人が42.8%
とあり、
   
2012年6月29日(金)の毎日新聞では、
 家庭内(親、配偶者、子、兄弟姉妹、祖父母、同居親族)で起きた殺人事件が一昨年、調査対象の平成以降で初めて殺人事件全体の半数を超え、他人間の事件数を上回っていたことが法務省の調査で分かった。他の暴力犯罪でも家族内事件の割合が増加している傾向が明らかとなり、専門家は「経済的に不安定な家庭の増加がひずみを生んでいるのでは」と指摘している
 調査結果によると、各年の1年間に発生した殺人事件のうち家庭内の事件が占めた割合は89年が39・9%。その後、微増傾向が続き、10年に初めて過半数の52・3%となった
 とありました。
 
夫婦仲が良い悪い関係なく、家庭環境、親兄弟姉妹との関わりが、モノの見方考え方に大きく影響していたりします。
 
 止観瞑想を実践するまでは、自分の育った環境の影響におびえていましたが、今では敏感さを育ててくれたと思っています。
 
 同時に、人の心の硬さをほぐすことの困難さ、固く閉じられた扉の重さも感じています。