人生の課題解決につながる性格理論、人間モデルを

k1s2012-01-20

 四苦八苦という言葉は、仏教に由来します。仏教では、人生は苦(四苦八苦)に満ちていると捉えます(一切皆苦)。
 
 宗教に限らず、あらゆる学問(例えば医学、経済学、物理学、心理学)は、人生上の課題をいかに解決するかを、人々に説くものでしょう。
 
 心理学もまた、そういった学問(仮説体系)の一つでしょう。心理学のイメージとして、人間をいくつかのタイプ分けにして、そのタイプにあった行動をアドバイスするもの、あるいは、行動を予測し対処を教えるもの、と思い描いている人も多いかと思います。
 
 子供の頃、雑誌の中に人生相談のコーナーがあり、心理学者の編集によるタイプ分けの質問チャートが載っていたりしました。YesあるいはNoと質問に答えながら、矢印の方向に進み、最後にタイプ分けされ、そこにタイプの説明とアドバイスが書かれていたりしました。
 
 今でもインターネット上には、質問に答えて自分の性格を判定してくれるHPが沢山あります。ゲーム感覚で楽しむことができます。
 
 実際やってみると、自分で自分に対し思い描いている性格を言い当てているように感じたりします。書いていることが全てあたっているというのではなく、当たっている部分だけを読んで納得しているのかもしれません。
 
 人生の大きな課題に向き合っている人は、こういった雑誌を参考にすることはないでしょう。とはいえ、こういったコーナーは、プロのカウンセラーや学者のアドバイスによって書かれています。
 
 こういったお楽しみのコーナーから、プロがどのような性格理論や人間モデルを持っているかが見えたりします。
 
 娯楽として読んでいるのはいいのですが、こういったプロの持っている理論や人間モデルに従って、経済政策や医療行政、教育行政、教育相談、教育実践が行われているとしたら、あるいは知らぬ間に常識となってしまっているとしたら、それらの理論やモデルが、本当に課題解決につながるものであるかどうか、注意することが大切だと思います。
 
 性格心理学のテキストを開いてみると、ミシェル(ミッシェル)が1968年に出版した「性格と測査」という本を境に、性格理論は大きく転換したとあります。
 
 人間をいくつかのタイプに分ける類型論や特性論や精神力動論は、「性格」が人間の内部で実体として存在していることを前提としています。
 
 オルポートは、1.性格は行動の原因である 2.性格は経時的に安定している 3.性格は通状況的に安定している 4.性格は内的要因である と述べます。
 
 それに対して、ミシェルは ○行動の通常的一貫性を安易に仮定しているのではないか? ○行動の規定因としての状況を軽視しているのではないか? ○測定道具による行動予測が有用かどうか疑わしい。 ○特性は内的に実在するものかどうか疑わしい と批判しました。
 
 以後、反特性論的仮説も反状況主義に立つ仮説も諸説色々あるのですが、要は、実際に人生の課題解決に結びつくのなら、個々人がそのうちの一つを選択すればいいのだと思います。
 
 性格心理学のテキストを離れて、今度は産業・組織心理学の参考書を開いてみると、未だ主流派ではないのですが、変革的リーダーシップ論なんかでは、心理学と瞑想実践が深く結びついているようです。
 
 仏教の基本的仮説は、「諸法無我」です。
 
 実のある対話や思考を実践するには、使用する言葉の定義と定義域を明らかにすることが大事と誰かが言っていました。
 
 神秘主義に突っ走る人は、そういう点は弱いように思ったりします。