覇者はあなた

NHK大河ドラマ平清盛」が始まりました。以前放送された「新・平家物語」から40年目だそうです。
NHKのHPを開いてみると、「ひと目でわかる大河ドラマ平清盛」というページがあり、

< 今から900年前の平安末期、天皇を退位した上皇法皇が大きな権力を誇り、貴族の長である藤原摂関家を抑えて、思いのままの政治(院政)を行っていた。身分の低い武士は、彼らに使える「番犬」に過ぎず、乱れた世の治安を守るため、命がけで戦っていた。
 しかし、世の中のさまざまな矛盾と向き合う中で、武士たちは、自らがこの国の頂点に立つことを夢見るようになる。
 そしてついに、武士として初めて日本の覇者となり、この国の行く先を示した男があらわれた―平清盛 >
 
 とあります。

 ドラマの中でも出てくるでしょうが、時代によって「武士」の意味するところ、おかれていた立場は違います。NHKの案内にあるように、貴族の番犬であった武士が、やがて権力支配者となります。その武士も、また歴史の流れの中では、次の覇者にとってかわられます。
 
 翻って、西暦2012年、現代社会の覇者は誰でしょうか?
 
 金融資本家? 石油メジャー?
 
 考える材料になる本として、書棚に目をやると、「傭兵の二千年史」菊池良生著 講談社現代新書、「ヨーロッパ史における戦争」マイケル・ハワード著 中公文庫 が目にとまりました。
 
 「傭兵の二千年史」によれば、「国民」兵士が、「国」のために戦ったのは、1792年9月20日フランスのヴァルミーの戦いが始まりだといいます。
 
 ウィキペディアの「ヴァルミーの戦い」には、
< フランス革命後最初の軍事的勝利であることで、「革命精神の勝利」と称えられた。プロイセン側でこの戦闘を目撃したゲーテが「ここから、そしてこの日から世界の歴史の新しい時代が始まる」 と言ったことで知られ、新しい国民軍が従来の傭兵軍を破ったことが、近代国民国家絶対君主制国家に勝った証として評価されることが多い。 また、この戦いによって史上最強の軍隊・国民軍が誕生したともいわれる >とあります。
 
 国挙げての国民軍と国民軍の戦いは、やがて第一、第二次世界大戦につながります。
 
 「ヨーロッパ史における戦争」の本には、「封建騎士の戦争」「傭兵の戦争」「商人の戦争」「専門家の戦争」「革命の戦争」「民族の戦争」「技術者の戦争」と戦争が変化してきたことが書かれています。
 
 さて、現代は、どういう武器を使って、誰と誰が闘って、誰が覇者なのでしょう?
 
 
 誰かが、現在の世界の経済危機を乗り越えるため、やはり紙幣の大量発行となるだろう、と述べていました。
 
 かつて、代官様が兵士を連れて、目の前から収穫した米を持ち去れば、誰が覇者なのか、よくみえました。代官屋敷の向こうには、お城がみえました。
 
 今は、老後の蓄えにと思って、例えば1000万円銀行に預けておいたのが、紙幣の増し刷りでその価値が下がっても、通帳に記載された金額は変わらないので、差額はどこへ行ったのか、誰が覇者なのかよくわかりません。
 
 税金を納めている自治体が、住民の税を担保に借金し、毎年多額の利子を払っていても、借金取りが、住民の家にやってくるわけでないので、借金の感覚はありません。
 
 銀行預金を、本物の金に変える人もあります。
通貨の切り替えの時、お金のある人々がかつてとった方法です。
でも、少しだと手数料がかかります。
 
 そうこうしながらも、歴史は動いています。
 やがて、新しい覇者があらわれるのでしょう。
 
 どんな時代に生きようとも、翻弄されつつも、今ここは「過程」であり、同時に「永遠」であるとおもいます。
 
 一人一人が、一草一草が、一虫一虫が「脇役」で「主人公」です。
 
 ここは、「宇宙の果て」であり「すべての始まり」の時でもあります。