マズローの欲求階層?

 土曜日に、「家族」をテーマにした心理カウンセラーの講演会へ出かけました。
  
 時代と共に「家族モデル」も変化してきたと話されました。
 それとともに現れている家族問題(特に虐待)のことを話されました。
 
 今一度家族を、「帰属」の場にしようという話だったと思います。
 
 「安心して自分らしく生きていける家族関係を築こう」

 色んな事に対して、「当たり前」と思わず、「ありがたい」と感じて、ありがとうと言おうという方法論も示されました。
 
 その中で、「マズローのニーズの階層」が資料として手渡され、ホワイトボードにも張り出されました。「自分を受容してくれる家族や仲間やグループがあること」の大切さが述べられました。
 
 
 今日はその講演会のことを話すわけではありません。
 
 ただ、2011年の家族問題(虐待)の話に「マズロー欲求段階説」が出てきたことは意外でした。
 
 
聴衆の一人が、「マズロー欲求段階説は、人間を理解するうえで分かりやすいです」と感想を述べられていました。

マズロー欲求段階説」でインターネットを検索すると、約1万件以上がヒットします。
 
 そのうち上位にヒットするのが、ウィキペディアの「自己実現理論」です。
 
 そこには批判的意見の項目の中に以下のようにが書かれています。
 

< マズローの欲求階層説に対する誤解は3つある。
1つは、マズローはより高次の欲求に移行するためには現時点の欲求が完全に満たされる必要はないと述べている。マズローによると、生理的欲求では85%、安全欲求では70%、愛の欲求では50%、自尊心の欲求では40%、自己実現の欲求では10%の達成度で移行が充足されるという。 2つは、自己実現者は完璧人間ではなく、欠点も多数有している。長年の親交をあっさり切り捨てたり、愛していない男と結婚し離婚する女性、親しい人間の死から瞬時に立ち直る者、因習にとらわれる者に苛立って暴言を吐いた女性など、自己実現的人間がそうでない人間を傷つける場合が非常に多いとマズローは説明する。マズロー自己実現者を無条件に賞賛していたわけではない。こうした欠点はマズローが挙げた自己実現者の特徴と矛盾するが、その理由については説明されていない。 3つは、サンプルが全23人とごく少数であること。先述の欠点を考慮するならば、もしこうした人々が多数存在すれば、社会は秩序を失い、存続困難になるだろう。マズロー自己実現を達成する人間は、全人口のたかだか1%に過ぎないと考えていた。
マズロー欲求段階説」は、人間性心理学や動機づけの理論を進展させたと評価され、マーケティングの分野においてはよく受容されたが、個人的見解あるいはごく限られた事例に基づいた人生哲学に過ぎず、普遍的な科学根拠や実証性を欠いているのではないかという疑問も呈されている。例えば、欠乏欲求が満たされていても、成長欲求の満足を求めず生活の安定を求める労働者の例がある。しかしこれは、欠乏欲求が十分に満たされていない(十分に自尊心が育まれていないなど)ために、自己実現の欲求が現れていないとも考えられる >
 
 私には、
 < 生理的欲求では85%、安全欲求では70%、愛の欲求では50%、自尊心の欲求では40%、自己実現の欲求では10%の達成度 >を満たしている人間というものがイメージできません。
 
 またその各々の達成度の測り方もわかりません。
 
 チェルノブイリで、そこが高度な汚染地区とわかっていていて、なおそこで暮らす人々や日本でも被ばくすることを承知で対策にあたっている人々は、どう説明されるのだろうと思う。
 
 人間はこのように階段を上って自己実現し、やがて自己超越するのだよ、というと、百丈野狐になってしまいそうな気がします。