室伏広治理論

k1s2011-10-18

ムーブメント シャマタ瞑想 太極拳 認知運動療法 生涯発達 リハビリ ホメオダイナミックス グレゴリーベイトソン 学習3
 

< 今年8月世界選手権で室伏広治は、ハンマー投げで36歳と325日にして大会史上男子最年長優勝をした。
2004年のアテネ五輪で当時29歳だった室伏広治は日本人初の金メダルを獲得した。しかしその後体が変わり、衰えやケガをするようになった。室伏広治は反復運動は繰り返せば繰り返すほど強くなるか?という問題を出した。正解はいかに反復させないで練習するかだった。ハンマーを使い不規則な動きを生み出し誤った反復運動を避けていた。これはハマロビクスと名付けられた。>

 昨夜、たまたまテレビの前にいて、松岡修造さんの声がしたので聞いてみた。すると、室伏広治さんが登場。とても興味深い話だった。
 
 この世を去る瞬間まで、生涯を通じて発達し続けてていくにはどういう暮らしをすればいいのか、それをどう伝えるのか、ということが、私の人生のテーマの一つになっている。
 
 室伏さんが言うには、人間は、年齢とともに、解剖学的生理学的肉体が衰えていくのはどうしようも避けようがないという。その通りだと思う。筋肉や骨は、老化する。
  
 しかし、脳、中枢神経がその衰えを補って、全体としての人間は、発達の可能性があるという。
   
 自分が、絵を描くということ、止観瞑想を通して伝えようとしていることと通じている。
   
 また「認知運動療法」の理論とも通じるところがあると思っている。
    
 私たちの運動、行動は、筋肉や骨だけで行われているのではなく、脳も大きな働きをしている。
    
 番組の中で、反復練習を否定していると受け取ってしまいがちな場面があったけど、完全な否定ではないと自分は思っている。否定したのは、間違っていても、その間違いに気づかずに習慣的に動いてしまうことであって、大切なのは、状況の「差異」に合わせて、自分の動きも変えるということ。
       
 ベイトソンの言うところの、学習2、学習3のレベルの話だと思う。
生得的な行動、学習レベル0を基本として、新たな行動様式を身に着ける学習1のレベルでは、反復練習は必要と思う。
 
 そして実際の生活では、ホメオスタシス的(静的恒常性的)な動きではなく、ホメオダイナミクス、カオス的(動的恒常静的)な動きが、大切であるということだと思う。
     
 例えば呼吸。字のごとく、私たちはオギャー吐息を吐きながら生まれ(呼)、最後に息を引き取る(吸)。
 一生呼と吸の繰り返し。呼吸の仕方は誰にも教わることなくできる。大人になる過程で、どこかで誰かに腹式呼吸を教わったりするが、たいていそれは間違っていること、不適切なことが多い。
  
 多くの人が、深呼吸しましょうというと、いきなり大きく息を吸い、吐く息と同時におなかをへこませたりする。気分転換に数度行うには、よいかもしれないが、とても不自然な呼吸で、長続きできない呼吸だと思う。
 
 息は、吐くか、留めるか、吸うしかないが、その過程は、一呼吸一呼吸、同じではない。
     
 番組の中で、大腿膜張筋と中臀筋に動きを覚えさせる動きをしていたが、この二つの筋肉の差異を感じ見つけ出すのは、レベルの高い話だと私には思った。
 
 というのは、例えば握り拳を作るとき、私たちは、掌から先の動きを見たり感じたりする。しかし、この動きを作っているのは、前腕にある浅指屈筋や深指屈筋などだ。しかし、前腕の緊張感を感じながら握り拳を作る人は一般の人では少ないと思う。
    
 アマゾンで調べてみたが、室伏理論の本はまだ出版されていないようだ。
 
 実際目の前に、室伏さん自身というはっきりした事例があるのに、教育現場で受け入れられていくのは、ずっと先のように思う。
 
 例えば、ホメオスタシスとホメオダイナミックス。最近の生理学の教科書を読んだことがないけれど、ホメオスタシスは記述されていても、ホメオダイナミックスは書かれていないんじゃないだろうか。