戯作三昧

NLP心理学では、成功・成就の為の3つの要諦ということをいっているそうだね」
 
「<目標を持つ、感覚を豊かにする、柔軟性を備える>ってことかな」
 
「そう、原典は英語だから、日本語に訳するとき、微妙に変化しているかもしれないけど、意図的にはその3つのことだと思う」
 
「そうだね、成功と成就、同じようで少し使う場面が違うね」
 
「ともかく、目標を持つということについて、僕たちは、僕たちが何か行動をしているとき、その目標を自覚して行動しているかというとそうともいえない」
 
「<目標を持たずに、ただ単に習慣的に、あるいは反射的に行動しているということもある>ということを言っているのかい?」
 
「そういう意味もあるし、その目標の可能性とか妥当性の検討もなくという意味も含めてさ」
 
「100メートルを13秒ではしれるようになるということなら、可能性はあるよね
 でも100メートルを6秒で走れるようにとは普通思わないね」
 
「そうだね、具体的な数字があると可能性について考えやすいけど、即身成仏とか原始共産制だとかにとなると、可能性を考えずに目標にしてしまったりするね」
 
「昔、<人間には自由意志などない、刺激に対する複雑な反応があるだけだ>という考え方の心理学があったように思う。その心理学によれば、目標を持つということはありえないのかな?」
 
「その心理学の見方をすればね」
 
「ところで、君の人生の究極の目標は何?」
 
「話が急に飛ぶねえ。」
 
「君が言い始めたんだよ。成功成就の為の3つの要諦があって、その一つが目標を持つということだって。」
 
「それがねえ、改めて人生の究極の目的、目標といわれると、わからなくなってくるんだよ。
 太極拳を習う目的、目標、中国語のテキストを買う目的なら、言えるけどね。」
 
「成功した人生ってどんな人生かな? 人生で何を成就するのかな?」
 
「悟り? 仏教には本来「悟り」という概念は無いそうだけど」
 
「究極的にはこれ、といえないから、それを観たくなくて、わざと齷齪したりしてね」
 
「あのね、実は、今このとき、一瞬一瞬完成されている、あるいは成就されているともいえるかもね」
 
「完成されている?成就されている?この矛盾だらけの現在が?
四苦八苦におびえ迷う我々、戦争があり、飢餓があり、自然破壊があり、それでも成就されているって?」
 
「君にとって、完成された世界、成就された世界、完成された人生、成就された人生って、具体的にどういうことさ?
完成とか不完全とか、それは世界の側にあるんじゃなくて、我々が作り出した概念だろう」
 
「君が描いているような成就された世界が、現実に成就すると思っているかい?」
 
「成就されるとは思わない、ただ方向としてはそれを目指したい」
 
「かつて理想社会が実現されると信じていた人々がいたけれど、そういう人々はかえって、目的達成の為と称してずいぶんひどいことをしたよね。」
 
「う〜〜ん、やっぱり成功と成就は違うよね」
 
「永遠に不完全ということと、一瞬一瞬が完全なんだということの間に違いはないと思う
 どちらも我々人間の側の概念だから
野に咲くスミレはまだ不完全だというのも、野のスミレは完全だというのも、人間の側さ」
 
「それで、そのことを思いつつ、自覚しつつ、具体的にこれから日一日をどう暮らせばいいの?」
 
「それはね、○○○○○○○○」      つづく