初心俳句会のことなど

向後千春氏の著書「いちばんやさしい教える技術」永岡書店刊に
 
「教え方のルール10カ条」とあり
 
1. 熱意よりも何をどうすればいいのか具体的な指示を
2. 「教えた」かどうかは「学ぶ側が学んだかどうか」で考える
3. 結果が思わしくないのは、すべて教える側の責任
4. 上手に教えたいならコミュニケーション上手になる
5. 教えるときは相手をよく観察して相手の状況をつかむ
6. 相手にとってちょうどいい知識を与える
7. 相手に教えたことを練習させて結果をフィードバックする
8. 相手にできるようになってほしい具体的なゴールを決める
9. 相手の「心」は変えられないが、「行動」は変えられる
10. ゴールは必ず「行動」として設定する

と書かれています。
 
先日初心俳句会を開催した時、この本をまだ読んでいませんでした。その時は、大学のテキスト「新行動療法」宮下照子・免田賢共著 ナカニシヤ出版を読んでいる最中でした。
 
テキストには、「問題(課題)の解決に向けて変化させたい行動を目標行動(target behavior)と呼ぶ。」とありました。
 
また
「目標行動は、できるだけ具体的にできるだけ明確にする。行動を心理治療によって変化させるためには、目標行動を具体的に記述することがその第一歩である。」とありました。
 
心理治療でなくとも、創造と上達、行動の変容においては、同じことが言えると思いました。
 
それで、句会の初めには、「人生を充実させることが目標」と述べました。
 
しかし、「人生の充実」という表現は、あまり具体的な表現ではありません。
 
そこで句会のテキストには
「どのような環境・世の中にいようと、今生きているその場で、創造と上達の工夫をし、その人生を詠う事・味わう事・おもしろく生きようとすること」と書きました。
 
口頭では、俳句を詠ったことがない人は、句会が終わったら詠いはじめること、すでに歌っている人は、連句を始めること、と目標を設定しました。
 
捨てられぬ名利かついで夏登山
 
でも、俳句を始めると、人生の充実以前に、名利を求めてしまったりします。多くの人の選に選ばれたり、賞を取ったりすることを目標としてしまったりします。いずれの人も通る道かもしれません。
 
 
初物の西瓜勧めて仲直り
 
句会で大笑いした句が、揚句です。
 
その後夫婦は、話し合った結果、
 
滝を巻く道に晩夏の風通る
 
となりました。
滝を巻くとは、登山用語で、滝を迂回するという意味です。