すべては生きた暗闇から生まれた

こころとからだ 学びの相談室 図書館
4月25日 金曜 晴れ 午前7時半より開館中
 花咲く植物を目の前にして、私達は、「この植物は、根と茎と葉と花からできている。」というでしょう。空間的にはその通りです。根は根、花は花。同じではありません。ゲーテの眼にもそう見えたでしょう。しかし、ゲーテはこうも言いました。「芽の通りすぎた跡が茎である。」「花は葉である。」時間的な文脈から言えば、「根も茎も葉も花も、ひとつぶの種からできています。」では、「その種は、なにからできたのか?」
 私達のからだに目を転じると、空間的には、皮膚や骨や臓器や血液からできています。心臓と胃は同じではありません。でも時間的にみれば、やはりひとつの種からできています。
 私達人間に想いを転じると、人間社会は、色々な人からできています。でも、人間もまた、「種」から生まれたのでしょう。
 「人間の種はどこからできたのか?」
 宇宙という暗黒の無生物世界・死の世界の中から、たまたま生命が生まれたという物語を採用すれば、やがて死の世界に帰っていくことに「恐れ」「虚しさ」を感じるかもしれません。
 「生きた不可視の暗黒世界から、私達は生まれた。永遠なる生命世界の中に、時たま死ぬという現象もある」という物語を採用することだってできます。
 いずれにせよ、死ぬことには違いないです。それは恐れることではなく「惜しむ」ことであるように思っています。
 今日も風は吹き、雲は流れる。私もあなたも流れる。
 より響きあえたら、幸い。