ある日の気功講座の一風景から

 日本で「気功」といえば、相手に直接触れずに、手をかざし、「気」を送ることで、心身の不調を直していく療法をイメージする人が多いようです。
 それは「気功」を応用した「気功療法」のその中のひとつであって、「気功」はもっと幅広くて深い内容を持っています。人間の一生を通じての成長に関わる鍛練実践法です。(例えば、体育気功・武術表演気功・芸術表演気功・瞑想気功・臨終気功)

 「気功Qigong」 という言葉が世の中に知られるようになったのは、実は1950年代からです。(気功療法実践 劉貴珍著 新泉社発行 1991年刊)
 また、それは、「自分で気功をしてみて、自ら錬功すること」を基本としていました。

 < 「気功医療」は姿勢を調え、呼吸を調え、精神を調えるとともに食事を調えるという「四つの調整」が不可欠である。(2頁) >ともあります。
 

 では、実際に具体的に行動しながら、気功を学んでいきましょう。

 皆さんの目の前に、お茶とお菓子を用意いたしました。
 普段私たちはどのようにして、お茶お菓子を頂いているでしょう。
 普段何気なく頂いているお茶お菓子を、気功的に行うとどうなるでしょう。
 
 私たちが生きていくには、食べ物が必要で、水、空気も必要です。
 ただ摂取するだけではなく、頂いたものがからだの隅々に届くようにしなくてはなりません。食べ物においてその始まりは、「咀嚼」です。
 
 無意識にむしゃむしゃ食べるのではなく、味わって、良く噛んで食べてみましょう。
 ただし、数を数えながら食べるというのは、基本的にあまりお勧めできません。というのは、丁寧に味わうことよりも、数を数えることの方に意識が向いてしまうからです。
 
 丁寧に、味わいながら、良く噛んで食べている時、呼吸はどうなっているでしょう。姿勢はどうなっているでしょう。
 
「気功」の基本的な姿勢というのは、惰性や習慣や思い込みに従って生きるのではなく、「目覚めながら生きる」という融通無碍な姿勢にあります。

 融通無碍であるからこそ、色々な器に入ることができます。器があればこそ、「気」を頂きやすくなります。  (ある日の気功講座の一風景から)