不昧不落 右脳左脳両脳一脳

k1s2011-10-16

絵を描くのが苦手な人のための絵画「上達」講座 ご案内
     

< 絵を描くことと人生 不落因果・不昧因果 過程であり永遠である今 >
 
 自然災害や突然の病気や怪我・事故など思いがけないできごとに遭遇し、人生の予定が狂ったりすると、苦しいです。と同時に私達は、何の変哲のない生活、無事の人生に対しても、物足りなさや虚しさを感じたりします。
     
 「高い理想や目標を持って、それに向かって努力することが、人生の充実につながる」と若いときには思っていても、ある年齢を超えてくると、持っている理想や目標、成し遂げたこととは関わりなく、自分がやがて老いて死ぬという思いが離れず、虚しさを感じたりします。
      
 人生経験を積み、色々なことを味わい、技能や知識を身に着け、人生の深みが増していくと同時に、他者との違いがますますはっきりし、要求水準が高くなり、特異性が深まり、自分の信念に意固地になり、通じ合う人が減っていったりすることもあります。
        
 目的追求の人生は、ともすれば、「今ここ」や「他の命」を手段とし、結果を求めて生き急いでしまい、今ここをちっとも味わっていなかったりします。これを「自己疎外」と言ったりします。
        
 と言って、「一期一会」だけを標榜して生きていると、「遊び」や「余裕」を失い、他人に厳しくなったり、求めすぎたり、あるいは刹那主義に陥ってしまうおそれがあります。
        
 こういった人間の味わいやすい苦しみと、絵を描くことはどのような関わりがあるでしょうか?
                             
 絵を描くといっても、色々な描き方、取り組み方があります。
        
< 絵を描くことと瞑想 かたつむりの線 >
      
 私達のお絵かき講座での基本事項の一つは、酒井式描画指導法にある「かたつむりの線」で描くということです。 
        
 かたつむりの線で描くと、それはそのまま「瞑想」となり、ともすれば左脳優位・目的追求になりがちな私達の在り方、今ここを手段とのみ生きてしまいがちな暮らしを、左右バランスのとれた状態に導いてくれたりします。 これまで描けなかった絵が描けるようになると同時に、色々な分野においての「上達のコツ」がつかめるようになります。
        
 「かたつむりの線」とは、線を描くとき、目安として、一秒1mmぐらいの速さで描きますが、時間や数値が問題なのではなく、全体をみつめ感じながらも、一瞬一瞬味わい、確かめながら、丁寧に描くということです。
 呼吸でいえば、シャボン玉を膨らませるときの深呼吸、瞑想でいえば、シャマタ瞑想に通じています。
         
「何の変哲もない生活」と先ほど表現しましたが、何の変哲もない生活という生活が、実際にある訳ではないでしょう。私たちの暮らし方が、感覚や関係を閉じさせてしまい、日常を変哲のないものにしてしまうのではないでしょうか?
        
 シャマタ瞑想で、全身に注目を向けながら呼吸していると、呼吸とからだに注目する意識と思考する意識の多重性、同時性、多層性を味わうことができます。更に続けていると、多重性や同時性、多層性は、日常の他のことがらにも広がっていきます。
        
 今この時を、歴史的な文脈を持った時間の中の過程として生きると同時に、一瞬一瞬、かけがえのない永遠の時として味わうことができます。(不落不昧)
 生きるために、おなかを満たすために食べると同時に、感謝とともに、与えられた食べ物の味を味わいつつ食べることができます。
 何気ないようないつもの風景の中に、自然の造形の美しさ、不思議さを見出したりします。
         
< 不昧不落 両采一賽 千錯万錯 >
      
 自分の都合のいい状況にしようと因縁果(環境・他者・自己自身)を操作しようとしても、自然の摂理、因縁果に従って、人は各々必ず老いていくでしょうし、この世を去るでしょう。思ってもみなかった出来事が降りかかることもあるでしょう。しかし、そんな因縁果の中にあって、眩まないでいたいものです。
 しかし、ともすれば、追い立てられるような暮らしの中で、自分を見失ってしまったりします。見失っていることにすら、気づかなかったりします。
        
 そんな時、鉛筆やフェルトペンを使って、かたつむりの線で絵を描くと、今ここを過程であると同時に永遠であるという多層的な感覚(不昧不落)を取り戻すことができます。
       
 因果を操作して何とか自分に都合にいい状況を作ろうとする自分と、あまりにも因縁が複雑すぎて操作しきれない自分と、どのような状況であろうとも、そこをかけがえのない永遠の場として生きていく自分とが、統合されていきます。
 清少納言は言いました。「遠くて近きもの 極楽(パラダイス)」枕草子162段
        
お絵描き講座以外に、体育系、文科系の様々な講座を開催しています。どうぞお越しください。
       
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紹介文献 「脳の右側で描け」B・エドワーズ著 エルテ出版 
     「絵を右脳で描く」クリスティン・ニュートン著 旬報社