人生産(讃)歌

 私達が 母親の胎内から押し出され この世に生まれ出たとき話すことも、自分の足で立つことも、焦点を合わせて見ることもできません。お乳を飲みながら、鼻で呼吸するしくみになっているので、口呼吸をしません。

 二本の足で直立歩行する人類は、産道が狭くなったため、新生児は未熟のまま生まれます。つかまり立ちをするようになったころ、咽頭の位置が下がり、咽頭腔が広がり、カタコトを話せるようになります。その後、日常会話ができるようになり、20歳を越えていようと、仕事をし、子どもを産み育てていようと、髪の毛が白くなり始めていても、「ヒト生命」として、成長と進化の途上にいるのだと思っています。この世での人生もまた、さらに新しく生まれる産道(参道)なのかなと。

 私達は、母親の胎内で、生命の長い長い歴史(系統発生)を繰り返し、胎内から出た後も、宇宙史、地球生命史、人類史を再体験します。
それは、電子顕微鏡を発明した「ヒト生命」だけができることです。

 私達のからだ、60兆ある細胞の一つ一つには、地球生命史、宇宙詩が宿り、「時」は一方向に流れるだけでなく、今もからだの中で降り積もり、熟成しています。だから、一杯のお茶を飲む(嚥下)といった小さな行いからも、系統発生の歴史を感じ取ることができます。

 例えば先ほど言った「呼吸と嚥下と歩行とコトバ、内部感覚、細胞」の関係がそうです。女性が妊娠すると、いまも体内に宿っているウイルスが、進化の過程に従って、「胎盤」をつくる仕事を始めます。「肌と表在細菌」「消化器と腸内細菌」「細胞の中のミトコンドリア」からは、「共生の歌」が聞こえてきます。「おなかに肋骨がない」ことからは、超大陸の形成と分離、そしてマグマの噴出、大量絶滅などが
「赤血球のヘモグロビン」からは、恒星の最期が語られます。                

 昔から言われるように ひとりひとりが 「小宇宙(真理・小さな全体・世界内存在)」なのでしょう。母の胎内から押し出され、一旦は 自然(じねん) からも仮分離した私達人間の仕事は 不安や孤独や疎外を乗り越え 理性(コトバ)と野性(からだ)、意識と無意識、陰と陽、生と死、男と女など二つに分かれたものごとの調和・融合を成し遂げ、花咲かせることではないでしょうか。

 熊野古道・大門坂で 参道を産道に見立て 歩く瞑想で 地球生命史 宇宙詩 を丁寧に味わってみましょう
(ブラインドウォークも行います。ヘレンケラーが味わったコトバとの出会いの感動を体験してみましょう。)
2018年1月7日 日曜日 朝 熊野古道 大門坂参道で (駐車場 9時集合)

 

午後からはNPO熊野みんなの家で、新年を祝いましょう。 コンサートもします。
その日、その時間以外でも 関心のある人は、いつでもお越しください。

649−5302 和歌山県東牟婁郡那智勝浦町市野々3987 NPO熊野みんなの家
0735−30−4560