ポスト・ロマンチシズム

 ロマンス、ロマンチック、ロマンチシズム、これらは、日本の大人にとってはお馴染みの言葉ですが、日常で使われている意味は、本来の意味からは、ずれてしまっているようです。例えば、ロマンスは恋愛、ロマンチックは、理性や理論よりも情緒や情感を大切にする傾向、現実を直視するよりも夢や希望を大切にする傾向、ロマンチシズムとは、そういった文学や芸術の思潮といった具合です。
 ロマンチシズムは、単に芸術上の思潮ではなく、哲学、政治、宗教など人生全般にわたっての世界観、人生態度のことを言います。そしてそれは歴史、宗教、神学と深い関わりがあります。

 ロマンチシズムは、ヨーロッパで生まれた言葉です。ヨーロッパの思潮は、経済の発達に伴い、中世以後、ルネッサンス啓蒙主義、科学と合理主義と変化してきました。今から約400年頃前から、神中心の世界から人間中心の世界へ変化してきました。理性とそれに基づく科学技術こそが、自然や本能を制御して人間に幸せにすると信じました。(今も信じている人がいるでしょう。)
 そういった思潮が、フランス革命に繋がり、アメリカ独立に繋がり、科学技術の発展につながりました。でも、フランス革命はその後党派の対立による恐怖政治になり、自由を標榜してできたアメリカは実際は奴隷制度の国家であり、科学技術と経済の発展は、貧富の差の拡大、新たな貧困を生みました。

 そういったことへの反省から生まれたのが、18世紀から19世紀に興ったロマンチシズムです。しかし、ロマンチシズムは科学と技術の合理主義に押し流されました。同時に、合理主義は、第一次世界大戦第二次世界大戦を経て、自然破壊や貧富の拡大を進み続けています。

 ロマンチシズムが合理主義に押し流されたのは、それが反合理主義となり、ロマンチシズムの特性を活かしきれなかったことが理由のひとつです。ロマンチシズムの特性は、反合理ではなく本来は脱合理、超合理で、合理主義をも包み込む全体調和の世界観です。そういったロマンチシズムのことを、かつてのロマンチシズムと区別する為に、ネオロマンチシズムとかポストロマンチシズムという人がいます。

 16日の「寝ながらヨーガ」のワークショップは、自分の中の生命リズムに耳を傾け、リズム(生命)とタクト(精神・理性)の調和を生きるポストロマンチシズムのヨーガです。