2013年 これからの苦杯

現在、日本に住んでいる人々の識字率はどれくらいなのでしょう
ウィキペディアによれば、日本人の識字率は99.8%となっています。
 
江戸時代末期に、日本に滞在した諸外国人の記録によれば
日本の都会に住む庶民の識字率も相当高かったように思います。
 
今の日本の大学進学率は約60%くらいのようですが、
文字は読めるにしても、その内容理解については格差があるように思います。
 
例えば
ニュースで、しばしば国債という言葉が出てくるので、
国債という言葉はしっているでしょう
 
Youtubeの投稿のなかで
国債は、借金だというが、国債は貯金だ」とコメントを述べている人がいました。
 
確かに、国債を買った人にとっては、それは貯金と同じようなものでしょうが
国債を売った側、その元本や利子を返済する立場の人から見れば、借金でしょう。
 
因みに
財務省のHPの中にある「日本の財政を考える」の番組の中では
国債というのは、簡単に言えば、国の借用証書のことです。国は国債を発行し、国民の皆さんや外国の方からお金をお借りして、財政赤字を賄っています。>とのべています。
 
つまり、財務省は、国債は借金と認めている訳です。
 
国債を発行して、政府が使用すれば、景気がよくなり
ひいては、国民の経済状態も豊かになるという風な風評がしばしばながれます。
ここでいう国民とは、だれのことをいっているのでしょう。
豊かになるとは、どういうことでしょう。
  
国債について学びたくて、本を読むうちに私が行きついた著作があります。
国債の歴史 金利に凝縮された過去と未来」 富田俊基 著 2006年
東洋経済新報社刊 ¥6300 です。
 
以下は、同書からの引用です。
 
国債とは何か
 私的な借入れが紀元前から行われていたのに対して、国債の歴史は議会の誕生とともに始まった。中世の国王は、資金が必要になった際に、王領地や徴税請負権を売却したり、それらを担保に商人たちから借金をした。
 しかし、借金をした後になって、国王はそれを税金とみなしたり、また王位が替わると、先王の借金としてデフォルトすることがしばしばあった。(34頁)>
 
国債を発行するごとに恒久税を創設
 国王の借金は私債か国債かが不分明で、時としてデフォルトが起きていた。名誉革命で即位したウィリアム3世メアリー2世は、課税には議会の承認が絶対必要であるという権利章典を誓い、歳出にも借入れにも議会の承認が必要となった。
 
 1692年に酒類に対する物品税を恒久化して、それを担保に年利10%の年金国債100万ポンドを発行した。また、1694年にはイングランド銀行を創設するとともに、トン税(港湾利用税)を担保に同行から年利8%で120万ポンドを借り入れた。これらが、イギリス国債の起源である。
 
その後も、新たに国債を発行するごとに、毎年の利払いに相当する税収を毎年生み出す新税を恒久税として創設した。(35頁)>
  
もし、あなたがお金を貸すとしたら、居直って返さない人や返済能力のない人に貸すでしょうか。おそらく貸さないでしょう。王様よりは議会や自治体の方が信用があります。それは、税収があるからです。
 
国債が、将来の税収と深く結びついていることは、歴史を振り返ればあきらかです。
 
国債を増発するには、それに見合う新税あるいは増税が必然です。
そして、国債は、ある国民にとっては「借金」であり、同時にある国民にとっては「貯金」です。
あなたにとっては、どちらでしょう。
あなたは、どちら側の国民なのでしょう。
 
国債の増発により、一時的な物価上昇、景気回復の兆しがみられるでしょう。
しかし、その後増税がやってくることでしょう。