紀伊半島沖を台風15号通過中

アスファルトの割れ目から ノースポールの花の芽が出てきたよ

小さな双葉の苗が、私にこういうんだ

あなたに母がいて、母の母の母がいるように

私にも 母がいる 母の母の母がいる

いのちの始まりの時から、ずっとずっと途切れることなく

今日まで命がつながって来たよ

小さな町の道端に 永遠の光が 輝いている


雨が降り、雨が降り、雨が降り 谷を削り 岩を流し

家をのみ込んだ 人をのみ込んだ 屋根の上にも泥 田んぼも畑も岩だらけ
 
丸たんぼうが二階の窓に突き刺さり 一晩のうちに 世界は変わってしまった

 
次の日の朝 道の上を谷の水が流れ 小さな蝶が飛んできて その水を飲んでいる

小さな蝶よ おまえはあの嵐の中 濁流の中 その薄い翅のままで何処にいたのか

泥まみれの街の上を 小さな命が いつもの営みを 踊り 舞っている

地球の片隅で いつもと変わらぬ日常があり 吹き荒れる嵐があり 

永遠の光が舞っている

小さな蝶よ おまえはあの嵐の中 濁流の中 その薄い翅のままで何処にいたのか

埃まみれの街の上を 小さな命が 仲間を弔い 讃え 舞っている

小さな蝶よ お前の母も 母の母の母も このように生きてきたのか