英語の発音 一からスタート

調身と調息
 
 私が子どもの頃、小学校では「きをつけ!」という号令をかけられ、そうやって「良い姿勢」をつくることを教わりました。
この「きをつけ」は、どうやら江戸時代末期に、西欧の軍隊を真似て、新しい時代の軍隊を作ろうとし、そこでかけられた号令「attention!」がもとになっているようです。
 「気をつけの姿勢」は、普段あまり使われていない抗重力の筋肉を緊張持続させることによってできる「いい姿勢」です。短い時間ならこの姿勢を保つことはできますが、長時間だと筋肉疲労を起こし、長続きしません。
 
 しかし、私たちがいい姿勢を作ろうとする時、普段あまり使ってない抗重力の筋肉を緊張させていい姿勢にしようとする傾向があるのは、今も変わっていないように思います。
 
 生きて、起きている以上、どこかの筋肉は必ず緊張しているのですが、姿勢を保つために緊張するのではなく、姿勢の調整の為に筋肉を緊張させると、余り筋肉は疲れません。
 
 ビニールでできていて、空気を入れて膨らませる人形があります。空気を入れると、中に骨がなくともしゃんとします。同じように、人間も深呼吸すると、肋間筋が動き、横隔膜が動き、背筋が伸び、自然に姿勢が良くなります。呼吸筋は生きている限りいつも使っている筋肉です。抗重力筋を主とするのではなく、この呼吸筋を主として姿勢を微調整する方が、常に使っている筋肉なので、無理なく最小の努力でいい姿勢を作れます。 つまり、調身は、調息によってつくられるということになります。


英語一からスタート
 
 私が英語を習い始めたのは、中学校一年生からです。当時、英文にカタカナをルビをうって習い、勉強しました。教科書の表の扉に発音記号が載ってあったと思いますが、全然習った記憶がありません。カタカナ読みの英語でスタートしたので、ネィティヴの英語に実際出会った時、ちんぷんかんぷんで、以来発音は苦手意識のまま、隅においてきました。
 
 今年から、小学校でも英語が必修になったことをきっかけに、私ももう一度一からスタートすることにしました。
 
先ずは解剖学です。

「硬口蓋と軟口蓋」

 色々本を読む中で、硬口蓋とか軟口蓋という単語に今まで出会っていたのに、わたしは口の中の天井にあたる部分には、全部骨で覆われていると思っていました。
 骨があるのは、前三分の二に当たる部分で、ここを硬口蓋といいます。あと三分の一には骨がなくて、その部分を軟口蓋といいます。
 
 鏡に向かって口を開けて、口の奥を覗いてみました。そして<アー>と発声してみました。
 口の奥の天井部分が持ち上がっていきました。ああこれが軟口蓋と分かりました。50数年生きてきて、自分の口の中のことを知らないでいました。まだまだ知らないことがいっぱいなのでしょうね。
 
「構音」
 日本語の母音は、アイウエオの五つです。英語の発音の本を読んでみると、英語の母音は26あると書いてあります。単純に引き算してみても、21は日本語にはない母音ということになります。 そこで英語の本と同時に、構音の本も読むことにしました。

 というのは、後舌母音なる言葉に出会っても、後舌をどうやって意図的に持ち上げるのか、感じがつかめません。構音の本を読めばわかるかもと思って読みました。
 
 うがいをするとき、私たちは、後舌を持ち上げています。うがいを意図的にすることによって、後舌を持ち上げる感じがつかめました。

「パパの音とママの音」 破裂音と通鼻音

 英語を習い始めた子どもにこのような質問は如何でしょう?
 私「パパの音とママの音の違いわかる?」
 子ども「??? パパはお父さんで、ママはお母さん?」
 私「じゃあ、左手の指をそっと鼻に当てて、はっきりと大きな声でパパといってみて。次にママといってみて。」
 子ども「パパの時には、鼻は震えないけれど、ママの時には、震えている。」
 私「パパは、破裂音。 ママは通鼻音。」
 

「あーと(はー)」 有声音と無声音 のどに手を当てて感じてみよう
 
 「喉にやさしく手を当てて、<あー>といってみてください。 次に、ガラス窓を磨くときのように(はー)と息を吹いてみてください。その違いが分かりますか?
 喉が震えている時の声を、有声音といいます。震えない方を無声音といいます。」
 
 カタカナ英語だとTopには トップとカタカナのルビを打ち、プは有声音になります。
 例えば、企業のトップになる、という具合です。 自分で有声音と無声音の区別がつかない時、私にはTopもトップも似たような音に聞こえ、区別がつきませんでした。
 
「阿吽の発声」 nとngの弁別
 
 例えば、Sinceのnの発音と、 Singのngの発音も聞きわけもどうしても弁別できませんでした。
鏡を見ながら色々試した結果、阿吽という言葉を見つけました。 阿吽の呼吸とよくいいますが、阿吽といいながら、のどの奥をみてみると、後舌がもち上がっています。

 まるで、生れてはじめて自転車に乗り始めた時の感じです。