恐竜の絶滅 強いものは弱い

○新石器革命
今から約9000年前に、人類の歴史では、新石器革命が始まったと言われています。具体的には、それまで採集狩猟生活をしていた人類が、農耕や牧畜で自給自足の生活に変わっていったということです。

  
○贈与・交換・物々交換
 自分が生きていくのに必要以上の食糧や生活物資があれば、そこには贈与があったでしょうし、交換も生まれたことでしょう。 その交換には、通貨の媒介は最初にはなくて、物々交換だったでしょう。

  
○通貨・お金の誕生
 物々交換では、効率がよくありません。お魚をお米に代えたくても、お米を持っている人が皮を欲しがれば、交換は成立しません。そのうち、魚は鮮度を失い、腐ってしまいます。
 そこで、交換・流通を促進する媒介物として、誰もが欲しがるもの、時間とともに劣化の少ないもの、分割しやすいものなどが、通貨の役割を果たすことになりました。
 お米、塩、山羊、貝殻、金、銀、……
最初、通貨、貨幣、お金は、交換のためのとても便利な役立つ道具だったのです。
 しかし、そこには、まだ銀行も利子も信用創造もまだありませんでした。

  
○ものの貨幣から鋳造の貨幣へ
 そのうち、金とか銀といった劣化しづらく分割しやすい金属が通貨に選ばれるようになります。金であれ銀であれ、交換の度にその量を測っていてはやはり効率がよくありません。そこで、権威ある者がその量と質を保証する鋳造貨幣が使われるようになります。

  
○贋金つくり
 いつの時代にも、姿形を似せて、質を落とした贋金を造るものが現れます。偽金造りは、罰せられます。歴史を振り返って、一番大規模に大胆に贋金を造ったのはだれかと言うと、実は貨幣の鋳造者自身(政府や領主)でした。貨幣の質を落としながら、以前の貨幣と同じ価値で流通させようとしたのです。(通貨発行益)

  
○現在も贋金づくりは続いている
 民間人が贋金を造れば、ただちに罰せられます。しかし、私企業が贋金を造っても罰せられない仕組みがこの世の中にはあるのです。銀行がそうです。と言っても銀行に地下室に贋金工場がある訳ではありません。

 
○銀行(金貸し)は何で儲けるか?
 銀行は、お金を貸し付け、利子つきで返済されることによって、利潤を得ます。もしあなたに、100万円手元にあったとして、そのお金を幾らまで貸すことができますか? 100万円までですね。銀行だとどうでしょう? 銀行だって100万円? いえそうではありません。政府が決めた預金準備率によってちがいますが、率によっては、100万円あれば、1000万円、あるいは1億円、10億円だって貸し付けることができるのです。(日本の預金準備率は0.1% 中国は約20%です)
 銀行は、偽札工場を持っている訳ではありません。通帳に記載すればいいのです。


○利子ってなんだろう
 もしあなたが小さな島に住む漁師だとして、そこの島の漁師の家では、平均一日に10尾の魚を釣って、島内に出荷していたとします。ある時どういうことか各漁師の家で100尾釣れたとします。だとしたら、魚を売って得るお金は10倍になるかと言うとそうはなりません。
 腐りやすい魚でなくとも、例えばお米でも収穫が多ければその分収入が増えるわけではありません。ところが、お金だとどうでしょう。お金は腐りません。銀行に預ければ、利子がつきます。


○経済のリズム 生活のリズムは誰が決めているのでしょう。
 現在、中小企業の多くは、銀行からお金を借りて、企業を経営しています。企業は、借りたお金以上のお金を稼ぎださねばなりません。ですので、利子は、商品やサービスの中に組み込まれます。私たちが何らかの商品を買ったりサービスを受ける時、利子分を含めて支払っています。
 私達は、生活支出以上のお金を稼がねばなりません。ですので、利子率が高くなれば、私達の支払額も増える、多くを稼がねばならないということです。直接銀行からお金を借りたわけではないのですが、利子を払っています。それは公共サービス、電気代や水道代についてもいえます。あなたの住んでいる自治体が、毎年どれくらいの地方債を発行しているか、知っていますか?


 ですので、経済のリズム、生活のリズムは、利子・金利に大きく影響されます。だからこそ、中央銀行が、一般の銀行(市中銀行)に融資する際の金利を「政策金利」と言います。


○恐竜の絶滅 強いものは弱い 
いまから6500万年前、恐竜が絶滅したと言われています。その原因仮説として、隕石落下説、洪水説、伝染病説、火山説など色々あります。ともかく、絶滅しました。
他の動物に比べて、人間を。他の経済システムに比べて資本主義を。他の国に比べてアメリカを。他の業種に比べて金融業を、他の発電設備に比べて原発を恐竜に見立てることができます。
ただ、恐竜だけが消えていくのではなく、のたうちまわるとき、残念ながらあちこちを傷つけることでしょう。ですから、あまりその近くにいない方がいいように思っています。