あなたのことを、想っています

花を活けるとき
自然に生えていたそのままを活けず
下のほうの葉っぱは、取ってしまったりする
 
花瓶に活ける為、残された葉っぱや花は、永遠であり
切り取られ、新聞紙に打ち捨てられた葉っぱもまた、永遠だ
 
「私」というものが、「実体」として存在するのではない
山田太郎」というヒトが、「実体」として存在するのではない
 
菊の花が「実体」として、存在するのではなく、
菊の葉っぱが「実体」として、存在するのではなく
 
菊の花も、葉っぱも、私も、山田太郎も、今かりそめに「現象」している
様々な縁によりて、いや、世界全体の縁によりて、現象している
 
苦しみも、喜びも、世界全体の縁によって、現象している
 
私を例えれば、脳細胞のひとつ、
私ひとつが、なくなっても、他の細胞が、システムを維持する
地球もまた、太陽系も、銀河系も、宇宙脳細胞のひとつ
地球がなくなっても、他の星や銀河系が、システムを維持する
 
だからこそ、今ここの私を、菊の花を、葉を、苦しみを、愛でる
 
貴方との今日の出会いは、もう二度と来ないだろう
 
今日の苦しみを、明日の苦しみとしている縁のひとつは、この「私」だ
 
それもまたよし
あれこれ忘れて、菊の花に見とれるがいい
あれこれ忘れず、菊の花に見とれるがいい