複雑系の朝

朝、寝床から出る気がしないことが時々ある
   
寒いのが嫌なわけでもないし、
仕事や人間関係や社会情勢を億劫と感じているわけでもない
起きてしまえば、仕事は面白いし、人間関係も悲喜こもごも 
社会情勢がどうあろうと、生きる時は生きる
 
「生きる意味が感じられない」という表現が、一番理由を表しているように思う
 
朝目が覚める度に、
「生きる意味って、世界の外側に、確固として特別あるわけじゃないんだなあ」
と感じてしまうのだ(このままだと、男の更年期になる)
 
そうやって、寝床で、考えたりしていると、声がする
 
「生きているんじゃなくて、生かされているんだよ」
 
生きる意味があろうとなかろうと、生きる意味を感じようと感じれまいと
朝、生かされて、目が覚めた
どう生きるかは、任されている
  
家を出るとき、びなんかずらの実の赤いのが目に付いた
その横に、いつも見ている名前の知らない木があって、
その葉っぱの裏に、やっぱり赤い実がたくさん付いていた
接骨院に付くと、花瓶の中で、薊が、凛と、咲いていた
 
今日は
世界が私を生かしてくれ
私もまた、世界の一部となって、誰かを生かしている
 
複雑系
無数の構成要素からなる一まとまりの集団で、各要素が他の要素と絶えず相互作用を行っている結果、全体として見れば、部分の動きの総和以上の何らかの独自のふるまいを示すもの
「複雑系」とは何か (講談社現代新書)
 
部分である私には、全体のふるまいが見えない
つまり、意味を見い出せない 一寸先は闇です
 
薊は、凛と咲いている 私もそのように