午睡

永い永い眠りから醒めると
夏の午後だった
痛みが薄らいでいた
窓から見えるのは
いつもの山と野原と緑の庭
幼い頃から遊んだところ
いつもの窓に、いつもの風景
なのに、とめどなく涙が流れた
「お前が求め続けてきたものは
 これなんだよ」と声がした
木陰で少女が花を摘み遊んでいた
私は、このことを書き留めたくて机に向かった
そこでまた、目が覚めた
疲れと痛みをとるために眠った数分の出来事
「できていないことを数えるよりも
 できていることを数えよう
 できていないことを嘆くより
 今与えられていることを味わおう」
夏の風に、緑の枝が揺れている
遠く潮騒が聞こえ
風が頬を撫ぜていく